ベイリン『世界を新たに フランクリンとジェファソン』刊行

このたび彩流社より、バーナード・ベイリンの訳書『世界を新たに フランクリンとジェファソン―アメリカ建国者の才覚と曖昧さ』が発売になりました。翻訳は国際基督教大学の大西直樹教授。僕も共訳者として名を連ねています。

原著者のベイリン氏は、革命期のアメリカ史が専門で、ピューリッツァー賞を二度も受賞したこの分野の巨星です。ハーヴァード大学の名誉教授として、米寿を迎えたいまも研究を続けています。しかしそんな大御所の仕事だからこそ、本書は専門家はもちろん、一般の読者にも充分に親しみやすい内容となっています。

世界の先端をいく大英帝国から辺境の田舎に移り住んだ建国者たちの心理はどのようなものだったのか? 英雄とも暴君とも称されるジェファソンの思想と行動の矛盾はどこに端を発しているのか? 齢七十にしてパリへ渡り、社交界の花形となったフランクリンはどのようにしてその地位にのぼりつめたのか? そしていまでもアメリカ人の精神の礎となっている合衆国憲法は、ヨーロッパや南米の変革にどのような影響を与えたのか? これらの問いに様々な角度から考察を加えつつ豊富な図版で理論を補強する本書は、読物としてもなかなかおもしろい一冊であると言えるでしょう。

正方形の広大な州が人工的に並び、銃を持つことが憲法で保証され、あらゆる人種でごった返す奇妙な国アメリカがいかにして出来上がったかを知ることは、アメリカの文化や芸術がどのように形成されたのかを知る上でも重要です。日本にとって近くて遠い国であるアメリカ、大国としての脅威のために敬遠され、歴史の浅さのために軽視されることのしばしばあるアメリカについて、本書を通して考えていただければと思います。